ARTICLE

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繊細さ

 発売当時“世界一薄いムーブメント”という命題を達成した本モデルは“繊細さ”が随所に生かされたデザインになっています。  腕時計を“身に着けるもの”という観点からすれば、薄く進化してゆくのはある意味必然のこと。一方で、機械設計を小型化、薄型化するためには、高度な技術が必要で、部品や噛み合わせそのものが繊細になっていきます。  そんなデリケートな機械を演出する本モデルのデザインは、イメージが統合されていて、とても繊細な形になっています。無駄のないシンプルなケースにも、細かい面取りが施されていたり、時字の一箇所が二本の溝で表現されていたりと、ディテールに通常の倍の手間をかけて繊細なもの にしています。  繊細さは、精緻な仕事の証でもあるため、知性のあらわれ、とみることもできます。見る人は無意識にその知性を感じ取り、それを身に着けることで知的満足感が得られるのではないでしょうか。袖口から見え隠れする細いフレームがキラリと光るさまに、成熟した知性が感じられます。

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安心感

 当時のシチズンの精密技術の粋を集めた最高精度の時計として開発されたモデル。当時のトレンドである細いシンプルなデザインでまとめるのではなく、時字や針をしっかり主張させた抜群の視認性で、正確な時刻をいつでも確認出来るようにしてあります。  また、ケースのラグも力強くエッジと斜面で構成させ、存在感の薄いシンプルなデザインが主流の時代に、腕の上でしっかり主張するデザインになっています。  全体として高精度、高級感も併せ持ち、満足感の高い腕時計として、当時のシチズンを代表する一本です。

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切削加工“美”

 この「クリストロン メガ」は1976 年に発売されたモデル。当時、今のような高精度なCADをベースにした切削機器はなく、外装部品の製造には多くの熟練工達の“技”が生きていたのだろうと容易に想像することができます。  実際にこの時計の形状や各部位を調べ上げていくと、小さな部品にまでしっかりとした加工と仕上げが施されています。時字を1つとってみても、加工精度が必要な小さな段差、視認性向上のために設置されたであろう「黒印刷」など、一切の妥協は感じられません。  ケースの形状をよく見ると、各部位に大胆なアール形状、直線が美しく映える鋭角な切削形状 等が使われており、切削による“美”を理解した上で製造していたのだろうと感じられます。ケースラグ上面、文字板上面には金属の型を使った梨地風の模様が施されており、ステンレス表面の模様が生き生きとして見えます。まるで模様が「見てくれ見てくれ!」と語りかけているようです。

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引き算

 当時世界最薄のアナログ式クオーツムーブメントを搭載した時計をより際立たせるフォルムとして、肉眼では詳細まではっきり認識できない精緻な処理や、より薄く見せるデザイン処理が随所に行われています。薄さをスポイルさせない引き算のデザインです。  ガラスとベゼルとの嵌合部の高さを極力低くし、ガラス厚は極限まで薄いものを採用。断面が凸型の植字の両サイドは、肉眼では判別できない程の細かなカットが施されています。また、ケースは極力側面を薄くし、ベゼル外径とケース外径を同一面とすることで、外観を構成する稜線の数を出来るだけ少なくしたフォルム。どれもとても細かなデザイン処理ですが、この小さな積み重ねによって精緻な佇まいを醸し出しています。  拡大鏡を使わないと判別できないほど細かなディテールの追求の積み重ねと、計算されたミニマルなデザイン処理によって、究極の薄さを表現したフォルムです。

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FIVE FACES

 ビジネスでもプライベートでも、旅行の需要が世界中で高まっていた2000年代初頭、当時世界最小のクオーツを用いたワールドタイムウオッチとしてこの時計は発表されました。  特徴的な5つの文字板を持つ時計は、異なる都市の時間が一目でわかるようにというアイディアのもと生み出されました。この“ファイブ・フェイス”は女性ユーザーをターゲットに、バングル状のケースをシンプルかつシャープに、縦に貫いて配置されています。  繊細なシープレザーのストラップは、コンテンポラリーでエレガントな印象を与えるだけでなく、装着感にも優れており、機能的な時計であると同時に、現代的なアクセサリーでもあるとも言えます。  印象的な " ファイブ・フェイス " は、その“顔”ごとに時間を伝える実用品でもあり、あらゆる人にとってのワールド・タイム・テラーでもあります。

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ギャップ

 一見、シンプルなドレスウオッチと思いきや、和の要素が多く潜んだデザイン。  西洋に由来する腕時計というものに対して、このモデルは、日本文化をデザインに反映して個性を表しています。  直線を多用したケースは、江戸の大工が組み上げたような緻密な仕事を感じさせ、一見無地の白文字板には、飾り和紙のように淡く七宝の吉祥紋が敷き詰められていたり、屋根瓦を思わせるバンドの連結だったりと現代の“TOKYO”ではない、古風な和の装いに包まれています。しかし中身はハイテクな電波時計であるという興味深いギャップ、意外性。ハイテク時計の便利さと、視覚的に表された日本伝統美を同時に楽しむことができます。  この和服を着た精密機械からは、「日本人が時計を作るとこうなるんだ」という静かな声が聞こえてくるかのようです。

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腕時計本来の役割

 腕時計は文字通り“時”を刻むもの。  本モデルはその“時”をいかに見やすく、いかに美しく魅せるかに注力しています。針や時字の形状・仕上げ、大きくて見易い日表示はもちろん、ケースやベゼルは複数の面が効果的に組み合わさっていて、光の反射によって、あらゆる角度から見ても美しい仕上がりになっています。  中3 針の場合、単調になりがちな“顔”も、10時位置に配した“充電量表示”がポイントとなり個性を表現しています。  裏ぶたの象徴的なエンブレムは、持つ人に満足感を抱かせる演出で、ケースのサイズやラグの落とし方は、とても腕なじみが良く、ザ・シチズンの名に恥じない腕時計本来の役割を果たすデザイン。  端整で上品。かつ高級感あふれる1 本に仕上げられています。

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エッジの魅力を引き出す

 商品コンセプトの一つである「スピード感」を表現するため、スリムに見せる面取りやエッジーなプロフィールを多用。特に鋭利な刃物で削ぎ落としたような多面体ケースは印象的で、他に類を見ない独創性があります。  3Dソフトによる設計ならではと思わせる造型ディテールが随所に見られ、ケースのイメージに合わせ、角や斜面、テーパードラインを多用した子部品、文字板や針、フォントなど、細かいディテールにまでデザイナーの個性が表れています。稜線のエッジ、プロフィールのエッジのアレンジには特に拘りを感じます。  ケースに比べてメタルバンドはややおとなしい造型となっていますが、その分腕馴染みへの配慮が感じられます。

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視覚的演出

 薄型化はそれが「機能を満たした」場合、技術的に大きなインパクトをもたらす反面、「要素を削る」という点でデザイン上制限を受けることとなります。このモデルは光発電時計最薄という厳しい寸法制限を克服し、機能と装飾性を余すことなく造形化しています。  ケースに複合素材サーメットを使い、ベゼルと裏ぶたには硬く、耐食性等に優れたバインダレス超硬合金をサンドした構造で、パーツの組合せ面に凹凸を設けています。これは総厚増加を抑え且つ強度を高める造形であり、さらに、ケースとラグ先側面の上下に斜面を設けることで、視覚的にもより薄く感じさせる工夫を凝らしています。  文字板の時字/ 放射状のパターン印刷は細く長く、印刷の上下を先細りさせ、外径/ 内径のアウトラインがぼやけて見える効果を持たせています。この時計の動力源が「光」であることを象徴した表現であり、印刷面積増加に伴う光透過率の低下を抑える効果を兼ねています。  時分針は鏡面と艶消仕上げを施して鏡面のブラックアウトを活かし、実幅より細く感じさせ、視認性とケースデザインにマッチしたスマート感を演出しています。  「魅せる」試みが随所に感じ取れる薄型モデルです。

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繋ぐかたち

 スマートフォンとBluetooth®を介してリンクする腕時計。時間を示す時計という本質を持ちながらも、Bluetooth®という目には見えない機能が形状で表現されていて、私たちとスマートフォンを繋いでくれているように感じられます。  ケース形状はシャープかつ滑らかな造形。ケースサイドを大胆に刈り上げ、細いヘアライン面を残し、薄さやエッジ感を表現。その細いヘアライン面は柔らかいラグ足先のアールに繋がっていて、その面の流れはスマートフォンを想起させます。シャープさの中にもどこか柔らかく優しい印象があり、ディスプレイのように広くガラスが使用されていて、カットされたガラスがより一層先進的な印象を与えています。  文字板は2 時位置のサブダイヤルに表示が集中していますが、情報が整理されており、仕上げがマットで視認性も良好。複雑ながら整理され、独特なバランスを持った文字板は、高機能で新しい“計器”のような印象を受けます。

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構造消化形デザイン

このダイバーズウオッチは、まず1,000mという深度に耐えられ、かつ、その過酷な環境において確実に機能が果たせるよう設計されたコアに、いかにして魅力あるデザインを与えるのかという難題に挑んだモデルと言えます。すなわち、高深度に耐えられるよう、ただでさえ肉厚にならざるを得ないケースにベゼルの誤動作防止機能を加えたことによる「重箱構造、形状」をデザインの力でいかにまとめあげるか、が大きな課題でし た。  側面から見た様子は、目付けとミラーを使うことにより、全体に視点が集中しないよう工夫され、さらに黒い部品を挟み込むことにより、分厚い塊があるようには見えません。また、ベゼル外周部を下面に広がった斜面とし、下面を逆斜面とすることにより、無骨な金属の塊に見せず、まるでサザエやイソギンチャクのような、有機生物感を与えるに至っています。ダイバーズウオッチに海洋生物風の外見を与えた、デザインが機能と融合した好例と言えます。

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徹底したデザインモチーフ

 このモデルのデザインテーマはずばり「六角形」。六角形はクオーツ時計の水晶をイメージさせる形状で、当時最先端のクオーツ時計のデザインモチーフとしてぴったりです。文字板は大きなデジタル部と控えめなアナログ部で構成され、極力シンプルな表現になっています。デジタル表示の液晶セグメントを見ても1 つ1つ が六角形で構成された数字を持ち、デジタル部とアナログ部の窓の形状も同様です。そして機能表示の小さなドット形状に至っても六角形...。この徹底されたモチーフ表現はユーザーに親近感を与えつつ、この時計のキャラクターを明確に示しています。結果、そのことが機能的にも視認性の向上に繋がっている好例です。  デザインモチーフがある場合、そのデザイン作業には繊細さが求められます。生々しければチープ感が強まり、弱ければデザインコンセプトが不明瞭なモデルになるからです。その点この時計は1つのモチーフで全体から細部に渡るまで一貫したディテールを持っており、機能性や視認性を損なうことく統一感を生み出しています。このように1 つのモチーフをテーマにして全体をセンス良く纏め上げることは、デザイン作業の重要な要素と言えます。

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まっすぐさ

 針が回転するアナログ時計が主流だった時代から、デジタル表示が普及すると、時計デザイナーに求められる能力は、よりグラフィカルなものになりました。アナログとデジタルの複合モデルとなると、その両方の持ち味を引き出さなければならないため、難易度はさらにあがります。  デジタル表示はセグメント文字を有するため、直線的で角ばったフォルムになるのは必然ですが、本モデルは特に四角いデザインをしています。定規とコンパスで全部書いたのではないかと思うほどにまっすぐな線のオンパレードですが、それが一貫することでまとまりを生み出しています。デザイン作業において動かせないのは、ムーブメントに内蔵されたデジタルの数字。その直線的な数字の雰囲気に全体を合わせることで、違和感の無い、統一されたデザインに仕上げました。ピッ、ピッっとステップ運針する秒針の直線的な動きが醸す精度感に、視覚効果としての直線が持つスピード感があいまって、まっすぐに機能性を重んじる様子がうかがわれます。

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細縁

 ひと目見たら忘れられないユニークなデザイン。  当時流行りのアナデジムーブメントを搭載した本モデルは、ムーブメント形状の制約を逆手にとり、それをデザインの特徴として生かしたカタチになっています。  アナログ、デジタル、センサー、と多機能なのにコンパクトな見た目、そして正面から見ても“薄い”と感じさせるデザイン。それは、ケースの細縁のなせる業であり、面構成やバンドの取り付け構造など、細部にわたりデザインを工夫したことにより実現できたもの。航空機のコックピットのような計器盤を意識したデザインにも関わらず、軽やかなイメージに仕上がっています。違和感を覚えそうな上下非対称の形状も、センサーや銘板の配置を工夫することでバランスよくみえます。  今なお売れ続け、30 年以上のロングセラーモデルとなっています。

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未来から来たような形

 このモデルを表現するには、「未来感」という言葉が一番しっくりくるように思います。  一見すると宇宙船のコックピットのようにも感じられる特徴的な造形は、1984 年、今から40年以上も前にデザインされました。過去の時計なのに「未来感」を感じさせる、様々な機能・要素が集まっているにも関わらずまとまりがある、造形が個性的なのにシンプルに感じる、不思議な要素が詰まった時計です。  シンプルさを感じるのは、エッジが立っていて、造形が大胆でシャープだからかもしれません。揺るぎのない潔いラインや、パキパキと移り変わる面の心地良さが、各要素の複雑さを一つにまとめて、一体感を生み出しています。  またシャープな中に「親しみ」や「可愛らしさ」を感じるのもこのモデルの魅力。直線的なラインの中に現れる、大きなアールの付いた丸みのある見切りやスピーカー部分、CITIZENロゴやRECの文字だけに施された金や赤のカラーリング、全体的にモノクロでまとめた中で少しだけ外した要素が、愛らしさを生み出しています。  「6 秒間の録音・再生が出来る」という当時としては画期的だった機能を、VOICE とTIMEという2つの顔で明確に分けることによって時計に上手くレイアウトし、機能性がデザインのインパクトとなったこの時計は、現代でも通用する未来的な造形と、唯一無二の愛らしいディテールを持っています。

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均整を取るという真理

 多機能モデルの宿命とも言えるビジーさを全く感じさせず、むしろスタイリングの糧として習熟された印象を受けるモデルです。  計算尺、3 つ目、さらに液晶3 つ(6 画面)とてんこ盛りの仕様にもかかわらず、どの角度から見ても整ったデザイン。表示の一つ一つを読み取ろうとした時に他のどの表記とも邪魔をし合いません。  アビエーションウオッチらしさを出すために味付けをするのではなく、機能表示を徹底的に美しく構成することに専念しています。逆説的なアプローチに感じられますが、コックピットの機能美や風格を表現するには、これがむしろ正攻法なのかもしれません。

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フラッシュサーフェース フォルム

 メタルバンドの腕時計は基本的に時計本体とバンドが別部品で構成されていて意匠的には別のものということが多いのですが、本モデルは薄いメタルプレートのバンドが時計本体を覆うことで、特異な意匠を有しています。  一枚のソリッドメタルプレートだけで構成することで一切の凹凸がないフラッシュサーフェスにより滑らかな肌触りを実現するとともに、その意匠を強調するため、外縁にはビビッドな赤いウレタン素材を途切れることなく縁取ることにより、ケースとバンドの一体感を際立たせています。  赤いウレタン素材のアクセントは単なる意匠面だけではなく、ウレタン素材で皮膚に接触する部分を保護する機能的な意図があり、“技術と美の融合”の一つの答えを示したモデルと言えます。  またソリッドメタルプレートの外装は、外側にテンションがかかっている状態となり、腕との間に空間を生み、いままでにない心地よい装着感とストレスを感じさせない視覚的効果を与えています。  時刻表記においてもそれまでの平面的なデジタル表記ではなく、擬似的な立体表現を採用することで今までにない先進性を感じさせるデジタル表現を実現しています。

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アナログとデジタルの融合 Ver.2.0

 この時計を一言で説明すると、「アナログとデジタルの新しい関係を示した腕時計」です。デジタルウオッチが持つビジーな印象を刷新する挑戦とも言えます。  1978 年、シチズンは国産初のコンビネーションウオッチである「デジアナ」を発売しました。初期のコンビネーションウオッチは、デジタル表示とアナログ表示が独立したレイアウトになっていました。その後、針の下にデジタル表示のある一体型のデザインが主流となり、本モデルの液晶レイアウトもこのタイプです。  本モデルの最大の特徴は、何と言ってもデジタル表示のシャッター機能。通常はシンプルな3針として着用し、カレンダーやクロノグラフなどの機能を利用したい時だけデジタルを呼び出すことができます。「シャッター」というだけあり、液晶が上下にだんだんと開閉するエフェクトが魅力的です。腕時計としてのシンプルさや高級感と、デジタルの機能性の良いとこ取りを追求しています。コックピットの計器のようにメカニカルでビジーなデザインを演出する常時表示型コンビネーションウオッチを「アナログとデジタルの融合」の第1 世代とするなら、液晶を必要な時以外背景と同化させることで、腕時計としてのシンプルさや高級感を兼ね備える本モデルは、第2 世代と言えるかもしれません。

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素材の良さを引き立て る、丁寧なデザイン

 腕時計の駆動エネルギー源に太陽電池を使用した、エポックメイキングなモデルであるが、デザイン的には過度な強調や装飾も無く、丁寧にパッケージングされています。  おそらく、当時の技術ではソーラーセルを隠すことができないという制約の中、逆転の発想でこのような文字板のデザインに落とし込んだのでしょう。ソーラーセルがむき出しの大胆さが魅力となっています。文字板に対し、ベゼルは12 時- 6 時方向にアクセントを加え、ケースはバンドとのつながりやラグの落とし具合など細かなバランスを整える程度に留めることで、文字板をより魅力的に感じさせるバランスに落とし込まれてい ます。  デザイナーは料理人に例えられることがありますが、難易度の高い食材の個性を見事に生かした好例と言えます。素材をそのまま生かしたという点で、どこか和食に近くもあります。

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機能と意匠のハーモニー

 体温と外気温の温度差によって発電する特殊な発電方式を具現化するために、ケース上胴には冷却し温度を下げるための形状的な工夫が施され、一方裏ぶたは体温を無駄なく受け取るために腕との密着性を高めるよう敢えて湾曲させるなど、機能面の効率を高めるための繊細な配慮が感じられます。  また、“「熱」により駆動する時計”という機能面を象徴的に表現するモチーフを意匠に巧みに織り交ぜながら、未来的な新しさを纏った洗練されたデザインに昇華されていることは特筆に値します。

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POWER IN THE GLASS

 VITROとは、ラテン語で「ガラスの中」を意味します。この「ガラス」は完全に透明であるように見えますが、実際には我々人間には目視することのできない程の微細な線上に形成された半導体が配置されています。つまり、この「ガラス」は透明なソーラーセルなのです。  透明性を強調するため、トランスパレントケースバックが採用されており、ケースの向こうを透かして見ることが出来ます。レディスモデルの限られた空間の中に、複数の層を構成する、挑戦的なアイディアです。  シチズンのプロダクトにおける技術と美の結びつきは、とても密接で強力なものです。この技術と美の相関関係をよく学ぶことで、人々に驚きを与えうる、新しい何らかの表現に挑戦しようと常に試みているのがデザイナーであり、このガラスの中のソーラーセルは、前へと進む足跡の一つとなりました。そしてこの先に待つ未来を、私たちはいつも想像しています。

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普遍性

 現在は「リングソーラー」と呼ばれる、ソーラーセルをリング状に配置する技術を、世界で初めて搭載したモデル。  モデル名のEclisse(エクリッセ)は、イタリア語で天体の日食、月食、覆い隠す等の意味をもつ言葉。ガラスと文字板の隙間にあるソーラーセルを、日食の際にできる、ダイヤモンドリングのような存在に見立てています。  通常エコ・ドライブでは文字板の下にソーラーセルを配置するため、文字板に光を透過する素材を使用しますが、このモデルではその制約がなくなったため、金属文字板が使用可能となりました。金属文字板の仕上がりを生かすため選ばれた、白の不透明塗装に塗膜研磨は、拘った質感でありながら、見やすさも確保されています。  ケースやバンドは、程よい膨らみがあり、主張しすぎない滑らかな仕上がりのため、品良くまとまっています。センターをミラー、サイドをヘアラインに揃え、質感で流れをつくり、すっきり見せています。  全体的に、余分なものを取り除き、洗練された見せ方をし、高級感を感じさせます。世界初の技術を多くの人に届けるための、普遍的なデザインです。

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光を吸い放つ、近未来の象徴

 この時計は、モダン建築をモチーフに「技術と美の融合」の象徴として生み出されました。その衝撃的なデザインと今までにない採光システムの融合は、近未来というものを時計で表したアートのようでもあります。  ケースサイドのサファイアガラスと中心ケースのメタルの柱の構築性は、正しくモダン建築的。ムーブメントを守る機能性ときらめくガラスの目に見える美しさを両立しています。  単純な三針ではなく、新しい表現のムーンフェイズにも取り組んでいます。これは、この時計が表現している光と影の関係の象徴でもあります。時字もサイドビューにこだわった遊びのあるデザインに仕上がり、総じて非の打ち所がないデザインを生み出しています。  前にあったものを横に置く。言葉で表すと簡単に聞こえますが、ソーラーセルを側面におくのは、かつて誰も試みたことのない難題でした。技術者の尽力により、斬新な形状に革新的な技術が並び立ちました。  この製品は、「光を吸う怪物」というキャッチコピーで世に送り出されました。未来を切り開いたこのデザインは、光を吸い、輝かしく放つ、努力の結晶となりました。各々のパーツへのこだわり、全体のバランス、それらが見事に一つの象徴として、形にあらわれています。

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誠実さの“ 真摯美 ”

 「スーパーデラックス」は1958年に発売されたモデル。1950年代(昭和25~34年)の日本の工業製品を調べてみると、現在も広く市民に使われ続けている生活に密着した工業製品が多く見られます。そんな時代にこの時計は世に送り出されました。  シンプルで実用的なルックスをしており、過度な装飾はケースや文字板、小部品からは見られず使い勝手も良さそうで、時代の影響をしっかり受けているように思えます。あえて挙げるのならばボックス状のガラス、ロケットの先端のようなりゅうずとカーブ形状の裏ぶたの3 箇所は、程よく個性を演出しています。細いケースラグ、細いベゼルや大径の文字板など、細部の作りこみの美しさには驚かされます。  文字板外周部には曲げ加工が施され、ボックス状のガラスとカーブ形状の裏ぶたとが組み合わさり、「薄さ、性能、加工美」をしっかりと体言しています。シチズンの真摯な姿勢が製品にしっかり宿っており、このまま現代でも十分販売できそうな魅力を持っています。文字板曲げ加工の反射も、柔らかく心地が良いものです。  この「スーパーデラックス」からは、真摯な作りこみと柔らかい人肌のような温かさが感じられます。

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ラウンド

 スモールセコンドが主流だった時代に生まれたセンターセコンド。  ガラス、文字板、針は外周部をラウンドさせ下に落とし、センターを薄く見せることで、緻密で上品な印象を与え、針の先端をカーブ文字板に合うアールに曲げることで、文字板からの距離が縮まり、視認性向上に繋がっています。  裏ぶたの球面は手首に心地よく、りゅうずの球面は手の甲にやさしい形状。  アールで構成されたロゴ「C Citizen Junior」は今でも洒落た印象を与えます。  随所に見られるラウンド形状は使う人のことを想い、丸みある愛着あるフォルムは人の心を掴み放しません。

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アクセント

 この時計の第一印象は洗練された美しさを持つ女性のための時計という印象でした。  女性らしいバランス感を生み出すため、ケースからバンドへスムーズな流れを大切にデザインされているように感じます。  ケースラグ部の稜線は、上品なきらめきと華やかさを持ち合わせたアクセントになっています。  時字はダイヤルの外側寄りにレイアウトし、中心部に空間を広くとることで、ダイヤル全体をすっきりとさせ視認性を高めています。  象徴的なスリースターのデザインがバランス良く文字板に配されています。  上品さと上質さを持ち合わせたデザインはいつの時代も美しく感じるものだと思います。

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大胆で端麗

 真正面から眺めると、あまり主張しないシルエット。しかし見る角度を変えると、大きな鏡面が映り込む景色を切り進めるように表情を変え始めます。  裏ぶた、時字、りゅうずに至るまで、鏡のような潔い面で形作られています。リズミカルに光るそれらの要素の中で、裏斜面とダイヤルがじわっと光の速度を変えています。全て直線的にしていたら、軽薄なモデルになってしまっていたかもしれません。  大胆なリズムの中にも、逸脱しないよう巧みにバランスをとることで、端正な時計に仕上がっています。

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「ながれる」と 「きらめく」の対比

 時計デザインの文法に沿って仕立てられた一見シンプルなモデルですが、見る角度によって意外なほどダイナミックな一面を見せます。とろんと光るのはケース上面のミラー円球面、プロフィールに沿った大きな斜面のヘアラインは白からグレーまでのトーンで抑えめ、サイドの1mm 幅の垂直面と幅広の下斜面はシャープに光が流れるミラー面、ラグ先は3 つの面取りが施されキラリときらめきます。とりわけ、光が流れるケースサイドのラインと、光がきらめくラグ先端の面取りのコントラストは、この時計が纏う光を上手に演出しています。  ロゴマーク、山型カットの時字と針、窓枠の複雑な面取りにもきらめきがあり、マットな文字板とのコントラストが際立つかのようです。  また、裏ぶたとりゅうずにはそれぞれ別体パーツ、文字板には植マークが2 つ、尾錠に至ってはロウ付けの3 体構造と、拘りのディテールが満載。当時このモデルに賭けたシチズンの意気込みが垣間見えるかのようですが、主張し過ぎないのも大きなポイント。そのことがかえって光の効果に視線を向かわせる要因になっています。

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シチズンスタンダード

 21世紀に向けて、新しい時代の思想や生き方にふさわしい腕時計をつくりたい。その思いから「ともに生きていくこと」をコンセプトとして生まれたザ・シチズンの初代モデルとして、1995年に発売されました。年差±5 秒の高精度ムーブメントを搭載するとともに、10 年間の無償保証や長期修理対応、専用相談窓口の設置といった、充実したアフターサービス体制を整えた、シチズンの時計づくりを象徴するモデルのひとつです。  ザ・シチズンの特徴である流行に左右されないシンプルな造形と、シーンやスタイルを選ばない上質なデザインを求めた結果が歪みのない鏡面と微細なヘアラインで構成されたケースに表れています。データ検証の結果を基にデザインされたラグの落ち方や大きさは、日本人の手首に最適化されています。  すぐれた視認性を求め、光の映り込みを抑えたガラスコーティングを始め、針、時字、文字板などのすべてに「どこからでも見やすい」ことへの工夫が施されています。また、低メタルアレルギー仕様であり、人に優しいシチズンならではの時計になっています。  時計の本質を追求し製作された、ザ・シチズンの名を冠するにふさわしいモデルです。

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ベースデザインの構築

 このモデルは、それまでの主流であった航空計算尺を回転ベゼルに配置するデザインを踏襲することなく、回転リングをケース内に取り込み、極力外装はシンプルにまとめられています。このデザインはその後のプロマスターのパイロット電波時計のベースとなって、長く継承されることとなりました。  電波時計の受信機能表示を秒針の「尾」の部分にて表示する手法も、エコ・ドライブの文字板において2 枚の文字板を貼り合わせて見切りの大きい文字板デザインを試みたのも、この商品が初めてでした。今では当たり前のように設定している設計手法もこのモデルの存在があればこそです。  計算尺・切分など要素が多く煩雑になりやすい文字板も、12 時と6 時位置に配置されたアラビア数字の時字により時刻が分かりやすいデザインにまとめあげています。  無駄の無い、そぎ落とされた機能美を表現したケースデザイン。視認性・精密感を巧みに表現した文字板デザイン。それらをMRK 処理を施したチタニウム外装と、エコ・ドライブ機能と電波時計の機能を合わせることで、軽く、傷つきにくく、止まらず、狂わない、という実用性の部分でユーザーに寄り添っています。  技術をデザインの力で見事に昇華させた1 本であり、シチズンのデザインに与えた影響は実に大きいと言えます。

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流れの中にあるリズム または流線型であること

 視覚的、また物理的にも腕への装着感の高さを感じさせるデザインになっています。  バンドからケースにかけて、流れるようにラインがつながっています。しかしそれは単調なリズムで終わっていません。ケースに流れ着いたとき、突然テンポを変えています。そのことで、単純なフルフローデザインで終わることなく、ケースの存在感もしっかり表現されています。  全体の仕上げを見てみると、両サイドのみミラー仕上げにし、大きな面を占めるセンター部を12時 - 6 時ヘアラインとしています。これによりステンレス素材の持つ魅力を十分に引き出されています。  文字板に目を移すと、色調はシルバーで、ほぼケース、バンドと同色であり、このモデルを語る上での大きな特徴と言えます。文字板をケース、バンドと色調においても一体化させることにより、流れるようなデザインの表現がより強まっています。  文字板上の表記も白印刷であり、同一トーンへのこだわりが表れています。形状もさることながら、色調に関しても流れを意識したデザインが大きな魅力となっています。

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知性と力強さ

 スマートさと力強いフィジカルという相反する要素を兼ねそろえた頼りがいのある時計。それがこのパーペチュアルカレンダーです。  厚みを感じる扇形の機能表示と、大きなデュアルタイムが、繊細な機能に力強い自信を持たせて くれます。  縦基調のスタイリングは、背筋を伸ばさせるような気持ちにさせてくれます。しかし大柄な体格にも似合うよう厚く、がっしりとしたシェイプです。特にゴージャスでグラマラスな肉厚のバンドは、駒も長くストレートなので、7 列バンドのわりに繊細さよりも力強さを感じます。腕に吸い付くように先細りになっており、まるで掴んだら離さない猛禽類のようです。  ケースに対してカン幅も広く、2 列だがバンドの駒と同じほどの幅のある脚が、インテリジェンスと力強さを感じさせます。

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華やかさと機能性の 良バランス

 スポーティーなテイストでありながら、単なるメンズウオッチの縮小版ではなく、思わず女性が手に取り身に着けたくなる華やかな要素と堅実な視認性をバランス良く組み合わせています。  全体のシルエットはすっきりとしたフルフローで、サイズ感も小ぶりな26mm のトレンドに左右されないタイムレスなスタイルです。ケース下面・裏ぶたからブレスレットのつながりも腕に角が当たる部分が無く、駒もしなやかなH駒のため、様々な手首のサイズにフィットします。  ダイヤモンド・白蝶貝を用いたジュエリーウオッチでありながら、10気圧防水、読みやすい文字板、カレンダー機能などの実用性をも兼ね備えており、幅広い年代の方に長く愛用してもらえるよう工夫されています。  一年に数回特別な機会に着けるためだけの時計ではなく、毎日身に着けることで日々のファッションを格上げしてくれるような時計です。

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「相手が基準」という視点

 このモデルは、アテッサらしいエッジのある多面加工されたケースに、ビジネスウオッチとして「重要な要素」が考慮されたモデルと言えます。  その重要な要素とは、まず視認性です。例えば、慌ただしい場面においてもしっかり時刻を読み取ることが実用時計(ビジネスウオッチ)には欠かせません。その点、このモデルは多機能時計にありがちな雑多な文字板ではなく、非常に整理され、時刻を読み取りやすいように設計がなされています。  そして、ビジネスウオッチとして重要なもうひとつの要素が、相手への印象です。ビジネスシーンで使う時計は、TPO に応じた佇まいでなくてはなりません。その点、このモデルは全体的に丸みを帯びた形状のため、アテッサらしいエッジもありながら柔らかい印象を与えます。ビジネスシーンに寄り添う時計として非常にバランスのとれた名品です。

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クロスシーと言えば

 xCの人気をけん引した、ベストセラーかつロングライフなモデル。当初は世界最小サイズの電波時計「ミニソル」として発売され、花をモチーフにしてデザインされました。  ラグやダイヤル、針などの所々に花の柔らかさを感じる細やかなデザインがされており、視認性や腕馴染みも良く親しみがあるのが特徴です。可愛らしい小ぶりなケースですが、2 段ベゼルを取り入れた大胆なデザインでもあります。通常であればベゼルが大きく見えそうですが、2 段目のピンクゴールドのカラーが引き立ち、全体を引き締めてくれるため全く気になりません。   繊細な部分と大胆な部分を併せ持つデザインのエッセンスは現在のクロスシーに引き継がれています。

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ふくよかさ

 この時計は多くの機能を持っており、その多機能性ゆえに文字板の密度は高くなります。バランスよく整えられた各要素の配置は、多くの情報をわかりやすく、並列的にユーザーに伝えることを可能としています。  また、サブダイヤルの形状や色使いは、視認性に十二分に配慮されているのと同時に、多機能モデルならではの凝縮感とあいまって、視覚的にユーザーを楽しませる効果があります。  ケースは平面が少なく、張りのある曲面を主体に構成されています。それは、多くの古代文明でみられる豊穣を願う地母神像の母性的なふくよかさを連想させます。  パイロットウオッチというきわめて男性的なモデルのなかで母性を感じさせるところにこのモデルの意外性と個性があります。多機能をただ機能的にデザインするだけにとどまらず、文字板のレイアウトやケース形状などのモデル全体の佇まいを通して、万人が共通して持っているであろう根源的豊かさのイメージを呼び起こすようなデザインだと考えます。

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幾何学のテンション

 文字板のサブダイヤル同士の重なりや、ボーダーパターンとレコードパターンの組合せなどで構成されたレイアウトは、各要素が幾何学的に整理されていて、見る人に知的な印象を与えます。  ベゼルのコーナー形状は、円/接線/円錐面で構成されたシンプルな幾何形状の組合せ。それでいて、視線の変化によって逆アールに見えたりするような有機的な感覚を生み出しており、このモデルに固有のテンションを加えています。  モノクロの世界の中に幾何形状がロジカルに組み合わさって、隅々まで調和する緊張感を生み出すことで、腕時計が本来持っている知的な側面を表現したモデルです。

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人に優しく

 オールアナログ式の水深計付きダイバーズウオッチ。アナログの持つ親しみやすさや視認性の良さを最大のポイントにして、余分な機能は出来るだけ省き、徹底的に使いやすさを追求することでベネフィットを向上させています。  Cal. B740は、ダイビングに欠かせない時刻と水深を指針によって同時表示します。時分針と同軸に深度針を設け、いつも見慣れている時計感覚で針の角度によって現在深度が容易に読み取れます。すなわち、切分一目盛が1 m 表示になっているため、深度針が「何分」を表示しているかで水深を知ることができ、何m 潜れるかも一目で分かります。これは夜光針によって暗所でも有効です。  レジスターリングのタイプには大きく分けて2通りあります。ローレットカットを全周に配置して摩擦で指を引っ掛けて回すタイプ。もう一方は6つくらいの大きなブロックを配置して掴んで回すタイプ。本モデルは前者にあたり、火山のような形状をしているため指の腹まで引っ掛かり、非常に回しやすくなっています。  ケースの裏形状については、センサーの下への出っ張りをなだらかな曲面で覆って一体感のあるものに仕上げられています。また複雑な三次曲面の構成はとても腕当たりが良く、優しさが感じられます。

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かくし味

 時計全体を構成するパーツを丁寧に見ていくと、様々な隠し味が潜んでいます。  [文字板 - 時字]意外にも時字の色が黒。下地が黒文字板ということもあり外形が溶け込んでいます。しかし動かすと時字がキラキラと光り、質感がしっかりと伝わります。上面に施された白い夜光とのコントラストが大きくなり、直線的な顔のイメージへと繋がります。  [文字板 - 印刷]白と銀の印刷を使い分けています。瞬時に理解するべき表示は白で強調され、補足となる内容は銀で表示されています。  [文字板 - 格子状パターン]近くで見ないと確認できませんが、一度わかると顔の豊かさを演出していることに気が付きます。その繊細さからは、ハイテクで確かな時計という印象を受けます。  [バンド]中駒と外駒の仕上げを縦ヘアラインと横ヘアラインにしています。同じアール形状ながらも仕上げを変えることで見え方が大きく違います。先カンのミラーパーツも相まって、オリジナリティを感じさせます。  様々な隠し味・要素を含みながらも、それらが巧みなテクニックで溶け込み調和しています。それぞれの要素が主張し過ぎずに、互いの良さを引き立て合っています。細部のこだわりが相互に補完し合い、より美しさを際立たせます。

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素材・技術の特性を活かす

 この時計には2 つの重要なポイントがあります。1 つはチタニウム素材であること。もう1つは文字板が金属でできていながら光で発電して動くということです。  チタニウム素材では形状のエッジを出すことがステンレスに比べて難しく、魅力が半減してしまうことがよくありますが、有機的な形状と大胆なミラー仕上げによってその難点を克服しています。  文字板は3つのサブダイヤルのみで光を受けて発電し動力とすることで、それ以外の部分への金属の使用を可能としました。金属文字板に独特の加工を通じて魅力をさらに高めています。  チタニウム素材の大胆なミラー仕上げと金属特有の魅力を持つ文字板により、総合的にまとまったデザインにすることで消費者の目に届きやすいよう工夫がなされています。  パッと消費者の目に留まり、分かりやすく魅力を伝える商品となっています。

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無骨なエレガンス

 無骨さの中にエレガントさを兼ね備えた、実用のための時計。ゆるぎないラインで構成された、余計な斜面など一切無いエッジの立った潔いケース・バンド形状や、ほぼ全てがヘアライン仕上げの無垢な質感から無骨さが見てとれます。  一方で、ケースの大部分を占める球面ガラスが無骨さの中に柔らかさを与え、ヘアライン仕上げの中に時折見えるミラーのキラッとした質感が、エレガントな色気を与えています。ほとんどがヘアライン仕上げですが冷たい印象ではなく、きめが細かく肌触りの良い質感と、チタニウムの持つ温かみのあるグレーの色合いも、上品でエレガント。  文字板では、大胆な大きさのアラビア数字と極太のバーインデックスが、堂々とした風格を漂わせています。一方サブダイヤルは緻密で細やかですが、見やすく、必要な所に夜光が入っていて、使う人のことを考えられています。針やインデックスは白、文字板は黒と、コントラストが高く、はっきり見やすい実用のためのデザインです。  タフでありながら大人のスーツ姿にも似合う、エレガントなプロマスターと言えます。

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優しいディテール

 デュラテクトサクラピンクを日本ではじめて採用し、その大人っぽく気品のある色の雰囲気を表現しようと試みたモデル。日本人の肌に合い、ちょっと控えめで凛とした表情をたたえたサクラピンクの色をコンセプトの中心にした新しいデザインアプローチにより、これまでの国内市場の売れ筋とは一味違う新鮮な魅力を感じさせるモデルとなっています。  全体的には落ち着いたデザインですが、見たことの無い新しい色合いと気品に誘われ、手に取りたくなるデザインとなっています。文字板は見やすく、ローマ数字と針も黒一色。見えてくる色を少なくしてサクラピンクが引き立ち、シンプルな印象と凛とした個性を与えています。  一見直線的なローマ数字のフォントは細部にカーブを施すことで、フォントに強弱が生まれ女性らしい強さを表しています。また、見返しリングのミルグレイン表現は、ケースのサクラピンクと文字板の境界を柔らかくつなぎ、エレガントな一体感を感じさせる効果を生んでいます。  優しく主張しすぎず、ディテールの丁寧さによって、長く使っていくうちに愛しさを感じるデザインとなっています。

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妥協のない職人のこだわり

 部品の一つ一つの形状・仕上げに気を配り、どれを取ってもそれぞれに職人のこだわりのようなものを感じる逸品です。  時字の形状やカット面/曜日の窓枠の独特なデザイン/日表示の拡大レンズ/ロゴ・マークのフォント/レイアウト/切分印刷の幅や長さ/ケース本体とベゼルの割り位置/面の取り方/ボックス型のガラス… 全てにおいて、妥協した点が見当たりません。  それら一つ一つを組み合わせ、腕時計という完成品になったとき、不思議と各々が主張し過ぎず、印象的で個性があるにも関わらず、何ともいえない上品さを醸し出しています。まさに匠の技です。

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大胆でいて緻密

 大胆さと緻密さが丁度良いバランスで共存しているのが、このモデルの魅力です。  たっぷりしたボリューム感のある面と、ケースサイドを滑らかに繋ぐダイナミックな斜面が特徴的なケースは、無駄がない形状が潔く、スタイリッシュな流線型が未来的な雰囲気を感じさせます。大きく飛び出したプッシュボタンは、ストップウオッチ付きというこのモデルの最大の機能を、アイコニックに表現しています。  ケースのダイナミックさとは対照的に、文字板は粗密のあるつくり込みがされています。太く存在感のある時字と、細い緻密な切分の対比が心地良く、特徴的な窓枠は3 面に分かれた面構成が大胆な一方、角が面取りされていたり、内斜面のみが黒色になっていたり、細部にまでこだわりが詰まったつくり込みがされています。サブダイヤルの中のグリーンやイエローの差し色は彩度が高すぎず、限りなく黒に近いダークグレーの文字板の中でアクセントとなっています。  余白をたっぷりと取り、細かい所はとことん細かく、粗密バランスの考えられたこの時計は、曲線と直線が調和し、未来感を漂わせる、大人をワクワクさせるデザインです。

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そのものがパワーストーン のような存在感

 1973 年8月、先に発売されていたシチズン初のクオーツ時計Cal.8810の精度を、月差±10 秒から±5 秒以内に特別調整し、10月に特別な仕様にて発売した商品。  クオーツという技術がまだ目新しかった頃の、自社の技術を最高の装いで世に出したいという当時の技術者やデザイナーの気概を感じるモデルです。  ケースには当時の主流である切削加工を大胆に施し、文字板素材には紫金石を使用。時字にはカットしたルビーを三ヶ所に配置しています。  黒っぽく艶めく文字板に浮かぶゴールドの針やルビーの時字という組合せもあいまって、このモデル全体から、ちょっとした自己顕示欲のような、当時この時計を所有していた人たちに特別な自信を持たせてくれたであろうパワーを感じることができます。

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発想の転換

 アイディアによるデザインの広がりを考えさせられるモデル。元々は12、6 時にサブダイヤルを持つムーブメント。それを90 度回転させて12時側にプッシュボタンを配置することで3、9時のサブダイヤルとなり、6 時側になったカレンダーは1つのサブダイヤルとしたデザインで「下三つ目」のクロノ顔が完成しました。12 時位置にプッシュボタンを配置したことで機能を妨げることは全くありません。  ケースの形状も大きなアールで丸められ大変馴染みが良いものとなっています。この全体の丸みがこのモデルの大きな特徴となっており、手の中に持った際にユーザーに心地良い印象を与えます。白黒コントラストの文字板からパンダとも呼ばれるのは、この全体の丸みのあるケースシェイプにも由来するのでしょう。  このように「ムーブメントを回転する」という発想の転換で腕時計本来の機能を損なうことなくデザインに変化を与え、その特徴を最大限に引き出した好例と言えます。元々のものから発想を変えることで全く別の形に生まれ変わる。その柔軟な発想がデザインの幅を広げ特別なキャラクター作りに貢献しています。「ツノクロノ」という愛称がついたのもその証です。  このような手法は普遍的な腕時計のスタイリングの幅を広げる上でデザイン的に有効な手段です。

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面構成の“バランス美”

 この「ワールドタイム」は1970 年代に海外市場向けに販売された、70 年代の特徴である切削加工の美しさがよく分かるモデルです。  70年代は“ドルショック”や2度の“オイルショック”があり、工業製品や市民生活にも多大な影響を及ぼした歴史的な出来事が多くありました。  工業製品に目を移すと、多くの日本製品が海外へ輸出されたのもこの時代で、シチズンも海外向けの時計としてこの「ワールドタイム」を生産して競合他社が多数存在している海外市場へと新たな戦いを挑んでいきました。  デザインについていえば、シンプルな切削形状を持つ時計本体と、機能である都市表記を回転リングに入れた“シンプル”と“複雑”が絶妙なバランスでデザインされています。  時計本体の上面には潔く円錐切削されたシャープな面とヘアライン処理、革バンドやメタルバンドと馴染むラグ先端部には力強く大胆な斜面切削加工が施されていて、バランスの良さには目を見張るものがあります。  現在ではあまり多くはない、シンプルで機械加工が前面に見えてくる技法で時計を作りこむ所に、逆に新鮮さを感じます。  この時計を生み出した創作者達の潔い美的感覚、バランス感覚には脱帽するばかりです。

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確かさ

 このモデルは「超硬合金」という、当時有数の優れた美しさと硬度を持つ素材で作られ、高精度クオーツムーブメントを採用したものです。  “美しさと確かさ”という素材の特性を活かし、冴えた磨きの品質を一番アピールできる形状を求めた結果が、このフラットな面で構成されたケース、エッジの立った規則的な溝、ラグを廃した無駄のないケースライン等に表れています。  文字板も、細く洗練された時字にしっかりと太い針を組み合わせ、精度の高さを誇示するように堂々としたフェイスデザインとなっています。  確かな技術こそが美しいものを生み出せる、その自信が随所に見られ、堂々とした個性を持つモデルとなっています。

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絶妙なバランス

 当時のシチズンのクオーツクロノグラフムーブメントでは一番高機能なCal. 3510を使用した個性的なモデル。  単なる角ではなく丸でもない、何処にも直線を使っていない角丸の四角形というベストなバランスを整えるのが非常に難しいフェイスデザインに挑戦した秀作です。  ケースデザインもあえてベゼルや形状をはっきりさせるエッジなどの力を借りずに破綻無くまとめられているところにデザイナーの力量がうかがえます。  異形にも関わらず10 気圧防水を実現するために裏ぶたをねじ構造の丸い形状にし、安心して日常的に使用できます。  バンドも薄くピッチの細かいバンドにフリーアジャストバックルで、あらゆる腕の太さに対応できるようになっています。  このように、全ての要素が絶妙なバランスでまとまっており、今でも通用するような時代を超越した魅力を持ったモデルです。

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時代の女性像

 1996年のクロスシーデビューモデル。Cool,Clear, Creative のコンセプトを、シャープなケースとバンド形状、シンプルな文字板デザインで体現しています。  90 年代当時の様々な流行を振り返ってみると、いわゆる「カワイイ」「女性=ピンク」といったいかにも優しく女性らしいものよりも、意思をしっかり持ち、外面・内面ともに強く格好良い女性像がファッションや音楽のトレンドにあったように見受けられ、その空気感がこのクロスシーにも反映されています。文字板のカラーバリエーションも白と黒のキリッとしたラインナップで揃えられ、ユニセックスなデザインにも見えます。  この当時の一目でシャープな強さを感じるクロスシーのデザインは、女性の意識の変化やファッショントレンドとともに変化していきますが、芯の通った精神的な強さは現在のクロスシーのコンセプトに変わらず受け継がれています。  時計を通じて、かつての時代の空気と、そこから受け継がれている変わらない思いを知ることができます。

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要素の表現

 このモデルの中心にあるものは、特殊性のある“多機能”という“要素”だと思います。  “要素”をデザインの観点からどのように表現することができたか。それがこの腕時計の持つ完成度に表れていると思います。  充電量表示を扇表示にし、その中心部を12 時時字として機能させるといった構成は特異であり、このモデルがもつ魅力のひとつです。同時に、多くの要素がお互いに干渉しあわないよう文字板、リング上にレイヤー、面構成により配置される工夫が施されています。  “スポーツ”という言葉を表層的にカタチとして表現するのではなく、使用状況を想定し必要以上に凹凸構成をしないなどといった作りこみもなされています。  メタルバンドには、連結駒にミラー仕上げの交互使いが施され、躍動感のある個性が演出されています。また、りゅうずとプッシュボタンガードを別体で仕上げ違いにすることで特徴づけ、プッシュボタンの形状とともにクロノグラフの機能を使いたくなるような仕掛けがなされています。  “機能”“スポーツ”という“要素”を本質を見据えて構成、表現したデザインが大きな魅力としてあらわれた、プロマスターらしいモデルとなっています。

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意志ある逸脱

 眺めていると、まるでオーディオ機器か何かを見ているような、そんな感覚に捉われます。ウォームグレーのガラスを通して見えるフェイスは新しさの中にもノスタルジーを感じさせる温かみがあり、ケース横のプロフィールに与えられた、もっさりとした印象に見えないギリギリの大きなアールや、ケーストップに施された粗めのホーニング仕様と合わせて、デジタル寄りのデザインを冷たく見せないことに成功しています。  電波時計という新しい技術に相応しいスタイルとして、また、若者をターゲットとするスタイルとして、この方向性を選んだのでしょう。時計でありながら時計然とデザインされてはおらず、そのせいか、もう18 年前の商品ですが今でも古びて見えることがありません。時計の世界だけでなく、常に広い視野を持ってデザインの視点から様々なプロダクトを眺め、ウオッチデザインの世界を俯瞰して見るスタンスの大切さを教えてくれ ます。  デザイナーの作家性とオルタナシリーズが目指す世界観のマリアージュを探るなかから生まれた、当たり前からあえて逸脱するスタイル。それがこの時計の確かな魅力となっています。

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膨張と融合

 「時間と空間を表現するフェイスの美しさを追求」することをテーマとした時計。  リング状のフレキシブルソーラーセルを採用し、文字板の外周に配置することで、通常のエコ・ドライブ時計では不可能とされていた金属文字板を採用。これにより、金属ならではの発色・光沢・仕上げを駆使した文字板を搭載できるようになりました。  また、ムーブメントもそれを最大限に生かせるムーンフェイズ付きマルチファンクションのものを採用。その個々の機能をデフォルメ・多層化し、時と空間を表現しました。  さらに、ケースやバンドを、あえてシンプルなデザインにすることにより、文字板が複雑な構成になっているにもかかわらず、時計全体ではシックに見えるデザインにまとめ上げています。

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逆転の発想

 ケース見返し面にソーラーセルが配置されるリングソーラーの構造上の制約を逆手に取り、ケース内側にまるで宙に浮いたようなリング形状を配置したモデル。  内側の文字板と外側の別体リングをあたかも内外の高低差を付けた立体的な一枚文字板のように感じさせる視覚的な効果を生み出しています。文字板から外周別体リングにかけて同じ型打パターンを施し、時字を放射状に繋がるように配置していることも、より効果的に見せるのに重要な役割を果たしています。  見切り径の制約から解放されたワイドオープニングのケースは、裏側を大胆に刈り上げることで、正面からの印象とは違った薄く見せる意外な効果を創り出すことに成功しています。

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デザインの楽しさ

 第一印象では、デザインの個性を強く感じました。全体的にワイルドなイメージがあり、形状はほとんど曲面で構成されていて、有機的な印象を与えます。細部に目を向けると、高度計があり、登山やスポーツをする人に向けた時計であることがわかります。ワンプッシュで高度計測中に方位を知ることができ、操作性にも優れています。文字板は、カラーリングや記号などが、多機能でありながら見やすく、バランスのとれた配置になっています。遊びがあるだけでなく、よく考えられた設計となっています。  このモデルには、その雰囲気からデザイナーが楽しんで製作した様子が伝わってきて、身につける人が楽しい気分になることができる要素が詰まっています。それは熟慮された構造の上に、成立していることでもあります。  遊び心がある有機的なフォルムは、自然と親しむ登山の用途にもマッチし、着用者のモチベーションを一層上げることでしょう。

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新素材の表現

 腕時計の素材として、ステンレスが主流であった70 年代。この「特殊軽合金」による「黒い」外装はかなりセンセーショナルに市場に登場しました。こうした新素材への取り組みを他社に先駆けて行うのは、現在へと続くシチズンのものづくりの姿勢と言えます。  「この新素材をいかに美しく表現するか」という視点でこのモデルを見ると、非常に上手くまとめられています。円錐形状によって造形されたベゼルの無いモダンな造形。ケース側面部分も垂直面ではなく、ケース内側方向へ傾斜させた斜面によって造形することで、円錐面との稜線がモダンな造形にあっても無機質にならずに正面や側面など、どこから見ても表情のあるキャラクターラインを生み出しています。ケース裏斜面も高めの位置に稜線を設定することで、ケースの厚みを感じさせない、互いの稜線が良いバランスになるよう に配慮されています。  ケース、バンド、文字板と主たる構成部品が全て「黒」によって構成される中、見返し部分のリングパーツの鏡面仕上げによるシルバーカラーは非常に良いアクセントになっており、全体を引き締めています。また時字や針に施された発色の良い「オレンジ」によって非常に新鮮なカラー表現がなされていて、ケースの新素材によるモダン表現と相まってこのモデルの印象をより強いものと しています。

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腕と一体化するミニマム形状

 人体に最もやさしい金属の一つであるチタニウム。そのやさしさという最大の特性を一瞬で感じ取ることができる“温かみ”をシンプルでなめらかでしっとりとした肌触りの良いフォルムによって高い次元で実現しています。  さらに、もう一つの特徴である“軽量”を活かすことを意識した一切の無駄を省いたミニマムデザイン。腕からの盛り上がりを感じさせない、エッジのないバンド断面形状。どこをとっても段差を感じない面処理や金属だけが持つ鈍い光を全面的に表現した、無駄を省いたシンプルな形状。腕と時計の程よい隙間。これらは人体への心地よさ、時計と人体とを一体化することへの配慮のあらわれです。  またシンプルな形状は動きが感じられないことが多いですが、この時計のバンドは装着すると、隙間を感じさせない部分と隙間がはっきり感じ取れる部分があり、常に移動する様は生物=人体を感じさせます。  本時計はチタニウムという新素材をあらゆる観点から考察し、素材の利点を生かして装着する人に最大限配慮したモデルと言えます。

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守られている安心感

 外部の衝撃からムーブメントを保護しようと様々な工夫を凝らし、特徴的な意匠が集合した結果として、「守り」の美学が結集したとも言える時計となっています。厚く武骨なケース、パッキンを挟み込んだ別体構造のベゼル、ねじ留め、先カン等は、城壁や盾、鎧といった「防御」のイメージを連想させます。いかにもタフな印象で、どんな苛酷な環境でも耐えられるといった面持ちです。  しかしここで面白いのは、「武骨さ」という言葉は、ユーザーにとっては「 守られている安心感」という視点に変換することも可能という点です。これだけしっかり守られているのだから、多少雑に扱っても平気だろうという安心感につながることで、気兼ねなくガシガシ使え、突き放すどころかいつも近くで使うことができる、という心理的なメリットに意匠が大きく貢献しています。  武骨でヘビーな外観とは対照的に、ユーザーに対しては頼りがいや安心感といったソフトな利点を提供しているギャップに気づかされるモデルと言えます。

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見せずに、魅せる

 華美な飾りがなく、削ぎ落とした引き算のデザイン。それゆえに、大胆さと繊細さが引き立てら れているモデルです。  各パーツのつなぎ目やビスを見せない構造と精巧な造りにより、パッと見ただけでは8 体構造だと分かりません。ラグは構造を生かした、垂直に切り落とされた鏡面加工の潔い大胆な形状になっており、美しいエッジが際立ちます。  複雑な構造をアピールするモデルは複数ありますが、あえて見せないこだわりが、大人の色気を感じさせます。

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多機能ムーブの抽象表現

 「光のクリーンエネルギーを身に着ける」をテーマとし、その具現化にチャレンジしたモデル。「クリーン」という抽象的テーマを表現するためにベゼル等、形状を複雑化する要素を削除。同一面の中で「形状を分割」させ、一体感のある塊の中に機能部品を同化させています。  また、クロノグラフという多機能ムーブメントを使用するにあたり、文字板の印刷表示をできる限り削除しています。その代わり、透明な成型部品の反射による形状認識を利用し、さらに蒸着処理された透明部品を層にすることにより、映りこむ形や影を作り、仕上げとばかりに浮かせた部品に印刷をのせ、光輝く空間の中に印刷を漂わせることで、テーマである「光のエネルギー」を表現しています。

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儚さの連続

 本モデルは儚い要素の集合で構成されたモデルだと感じました。ドーム状に大きく膨らんだサファイアガラス、それに沿って緩やかに曲がった針、グレイッシュな印刷物、美しい平滑面を出し輝きながらも、実は脆さと隣り合わせのセラミック素材など、プロダクトとしての美しさを持ちながらも、どこか弱さや儚さを感じさせる時計です。宙に浮いたメガネパーツはこちらを見つめているようで、生物的な印象を受けます。  視覚だけではなく、触覚のデザインもそのコンセプトを強めています。シリコンバンド(リキッドラバーバンド)は柔らかく、とても心地良い触り心地です。華美な装飾のない、シンプルな面のこのバンドは、クリーンな印象で文字板とマッチしています。  立体的な文字板が演出する“光と影”がこのモデルの一つのキーワードですが、その光と影もその時々で変化し続ける儚いものです。その時しか見ることのできない一瞬一瞬の儚さ、その連続がこのモデルそのものだとも言えます。

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メディカルモチーフ

 清潔で透明感のあるメディカルモチーフをデザインコンセプトとしてアプローチしたモデル。有機的なスタイリングが強い個性を放っています。  20世紀末のトレンドでもあったトランスルーセントな質感をケース、バンドなどに採用。立体化された風防の側面からも光を取り入れ、透明カプセルに見立てた時字など、新しい工夫を試みています。また、12-6 時が非対称なケースにより、腕に装着すると文字板面が僅かに手前に傾斜し、時刻を読みやすくしています。

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触るデザイン

 この時計はプロフェッショナル潜水用ダイバー時計として「機能」と「使いやすさ」が両立された好例です。  プロマスターはデザインが機能を阻害してはいけません。それゆえ各部の形状に多くの配慮がされています。レジを上面から押し下げて回転させる逆回転防止レジスターリング構造に加え、9 時のロックレバーで簡単に操作できるダブルロックシステムを採用。滑りにくいりゅうず形状、回しやすいレジスターリングデザイン、腕に当たる部分はエッジを無くした滑らかなディテール。  この時計にはさらに特別な機能が与えられています。それは「レジスターリング分解構造」で砂の混入時にユーザーが自分で分解掃除が可能。腕時計は本来分解してはいけないもの、ましてやダイバー時計です。その意外性と、自分のツールをメンテナンスできる喜びという満足感をユーザーに与えます。プロフェッショナルギアとしての存在感と満足感を両立させながら、心地良さ、安心感も生み出したことに大きな価値があるモデルと言えます。  機能性や装着感、それらが完全であればユーザーに安心感と心地良さを与えることができ、ユーザーの喜びに繋がる。デザインをする上で重要なポイントは多くありますがそれらが揃った製品はまさに「ユーザーフレンドリー」と呼ぶに相応しいと思います。

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アフォーダンスデザイン

 シチズンのクロノグラフ付き腕時計の標準レイアウトと言えるムーブメント、Cal.3510を搭載した本モデル。  Cal.3510を搭載したモデルはデザイナーの手により、いろいろな方向性に味付けをされ市場に投入されましたが、中でも本モデルはクロノグラフの基本操作を一見してユーザーによりわかりやすく表現した、高度なデザインのものと言えます。  腕に装着しクロノグラフの機能を使用するときにユーザーにストレスを与えないプッシュボタンの配置と針の位置。クロノグラフの複雑な操作性をひと目で理解し、本能的かつ無意識的な動作を促すため、プッシュボタンにそれぞれ特徴のある形状や大きさが与えられています。ケースの色調の配色やアシンメトリーのスタイリングなど、すべてにおいて今までにないデザインとなっています。  こうした特徴的な形状や、外周リングに取り入れられた機械部品形状、左右非対称のケースに見られる4 所のビスなどが“クロノグラフ”=“精密な機械”という印象を連想させるディテールとなってモデルを仕上げていると言えるのではないでしょうか。

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かきたてる

 左右非対称なシルエットがもつ強烈なインパクトは、「手にとってみたい」という衝動をかきたてます。文字板に大きく配された深度計と9 時位置のセンサーは、「実際に海に潜ったら…?」という想像をかきたて、それらが結果として「欲しい」という気持ちをかきたてます。  本モデルは、そうしたユーザーの潜在意識を「かきたてる」と同時に、しっかりとその気持ちを受け止める機能性を有しています。腕時計に限らずどんな製品にも言えることですが、機能性だけを単純に追求していった場合、無味乾燥かつ没個性なモノが生まれてしまう可能性が存在します。本モデルは、ISO/JIS 規格や海中での視認性等といった様々な制約がある中で、機能性とアイコニックな外観の両立を見事に果たしていると言えます。  「マンボウダイバー」という通称が示すとおり、シルエットだけでそれと判別できるインパクトのある外観を備えながら、ダイバーズウオッチとしての機能は一切損なわれていません。実用性と魅力的でユニークな外観の両立という、真にデザイナーに求められる役割を見事に体現したモデルだと言えます。

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演出力

 大型ムーブメント使用時の制約を逆手に取り、大きな容積を生かした奥行きのあるダイナミックな造形によって機能を裏付けすることで、「ただならぬ存在感」を演出したモデル。  「黒」と「緑」のコントラストで構成されたデザインは美しさと時計の機能を合わせ持ちます。  ケースは受信感度に影響を与えないようセラミック材を使用し、めっきでは得られない平滑度の高い光沢感のある仕上げ処理が施されています。  文字板外周をぐるりと囲む鮮やかな緑のコイルは初代電波時計のアンテナを意識したものです。ベゼルをサファイアガラス面に配置し、あたかも浮遊しているかのような表現は衛星が周回する軌道をイメージさせ、側面からも文字板緑のコイルのモチーフの形状が確認でき、あらゆる角度から見て楽しめるようデザインされています。  時針を立体的に折り曲げ、ディスク式の針に刻まれた文字が回転する様、小さな空間に精密に組み込まれたパーツが作動し、それが正常に機能する様は都市のジオラマを腕に巻くかのようなワクワク感、ユーザーを童心に帰らせる楽しさを提供します。  時計に興味を持つ、持たないに関わらず、思わず立ち止まって見入ってしまう。そんな演出がこの時計には込められています。

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歴史的知性と品性

 星の光は、はるか昔に放たれた光です。たとえば有名なオリオン座のペテルギウスからは、約496 ~788 年も昔の光が、今届いているのです。  かつて時計とは、有識者こそが扱う価値のある実用品でもあり、持っているだけで価値のある品でもありました。この時計はまさにそうした時計の価値を再認識させられるモデルのひとつであると考えます。シュメールの時代から重ねられてきた壮大な歴史を、時計の盤面は物語り、知らない人すらこの時計に目を見張らせます。  アナログ時計は盤面から過去と未来を直感的に感じさせてくれますが、この時計は精密な星座早見盤により、星の見えない昼間の時間の星座さえ示してくれます。そしてユーザーにこの時計を持つ意味とロマンを与えてくれます。  星座早見盤を損なわない、細く薄く見せるドレスウオッチ調なデザインは、控えめに見えるようで実は主張がはっきりしています。古代建造物のような段つきのベゼル。ベゼルに食い込んだ華奢な猫足。大きなアールで刈り上げた裏面。星座早見盤を最大限に見せる細い針。それぞれが装飾的であるかのようで、金色に統一することで威厳のある統一感と、歴史的なドレスウオッチの仕立てとなっています。いうなれば、歴史を纏うドレスウォッチです。

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狙ったインパクト

 国産初の電子腕時計ということで、歴史に残る時計になるという確信を持ち、かなりのインパクトを与えるデザインにしたかったという強い意気込みが感じ取れます。デザイナーの意図通り、一度見たら忘れられないモデルとなりました。  当時の大卒初任給が約30,000 円で、このモデルの価格とほぼ同じでした。にも関わらず人気を博し、シチズンの歴史にもインパクトを残しました。  ただインパクトがあるというだけでなく、小ぶりで薄く見せようとする工夫、りゅうずをケースシルエットに隠すなど、腕時計に求められる本質を忘れていない点も、評価できる点でしょう。

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歪みがない

“孤高”“煌めき”そして“キレがあり”“穢れがない”。この時計を手に取ると、そんな言葉がイメージされます。  ケースの、磨き上げられた面とその構成。一瞬、触れるのを躊躇うほどの気高さがここにはあります。各々の面が平滑であることにこだわった結果、まるで宝石のようにキラキラと輝くケースとなったのです。考え抜かれた面角度による表現で、光と影のコントラストの美しさが際立っており、品格が漂っています。これほどに高貴なイメージが表現できているのは、そこに一切の歪みが存在していないからでしょう。  歪みを許さない、そのために使われた素材が超硬合金です。厳選された素材を使い、入念な仕上げを施した結果なし得た精緻な面品質、そこには本物の機能美が備わっています。  文字板に目を移すと、色調は漆黒。仕上げは塗膜研磨により、ここでも全く歪みの無い面が表現されています。研ぎ澄まされた感触が伝わるかのような鋭敏さです。  針と4か所の時字に関してもダイヤカットが施され、ケースと同様にキレのある、煌めいた表現となっています。  “つくりの良さ”“質の良さ”に裏付けられた“洗練された美と個性”がここにあります。

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機能性追求の先に 生まれるカタチ

 1300mの防水機能を備える強靭な時計を演出するために、見た目にも安定した塊感のある正方形のフォルムです。過度な装飾を省き、必用な機能のみを追求しています。  極力側面の凹凸を無くし、グローブを着けたままでも操作できるように、ベゼルには大きな切り込みが入っています。正面は、12 時 - 3 時の1/4部分(りゅうず部を除く)を90°ずつ回転コピーした、異型モデルでは稀なフォルムであり、このモデルの特徴でもあります。  飽和潜水から浮上した際、ケースの内圧が上がり、ガラスが飛び出ないための固定用4 本ねじも見事にデザインされています。  光の届かない暗い海の中での視認性を考慮して、針は全て形状が異なり、文字板は針とのマッチングも考えられています。  過酷な使用環境での機能性を追求し、無駄を省き生まれた、シチズンが考える「機能美」を具現化したデザインと言えます。

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技術とデザインの融合

 サウンドウイッチは、ラジオが聴けるデジタル時計です。本体とラジオ用の電池ボックスを着脱可能にすることで、時計としての機能を保ちつつ、時にはラジオを聴くこともできるように使い分けができるのが魅力です。  時計本体はプラスチックで作られており直線的な全体構成をしながらも、細部では角アールをうまく設定することで、チープに感じさせないデザイン構成をしています。  また、操作性を考えた細かな配慮がされており、新しい技術を取り入れながらも、腕時計のノウハウによって使い勝手の良さに工夫がなされていることを感じさせます。

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視認性

 命に関わるダイビングで使用されるダイバーズウオッチでは、防水性はもちろん、“視認性”が重要とされます。  本モデルは、世界初のエレクトロニクス水深計測機能を搭載。現在の深度や最大深度を計測できる他、水中で音が響きやすいアラーム機能まで付いています。ですが、やはり一番重要な情報は潜水時間です。深くなればなるほど、脳の判断力が落ちるため、瞬時に針を読み取れる“視認性”を追求し、時字や針のサイズ、形状、夜光の面積についても熟考されています。  まさに「ダイバーズウオッチのバイブル」と言っても過言ではない、先駆者的モデルです。

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印象的なフェイス

 ウインドサーフィンやヨット(小型艇)レースに特化したタイマー機能を持っているのがこのモデルの大きな特徴です。開発には実際にヨットレースに参加経験のあるデザイナーが携わり、より使いやすく、見やすくすることに主眼を置いています。  デジタル表示で、レース中に最も知りたい経過“秒”を1番大きく、6 時位置に表示するようになっています。また経過時間をよりグラフィカルに、当時の自動車のパネルデザインに見られるデザインを取り込み、判別しやすさと、時代性を絶妙に取り入れた表現となっています。結果、このフェイスデザインは非常に個性的な表現となって、一目見たら忘れられない商品となりました。  「ヨットタイマー」という新たなカテゴリーをいかに「使いやすく」、「個性的」な商品として発売するかという点において、この非常にインパクトのあるデザイン功を奏しているは間違いありません。

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制約を個性に

 多局受信型電波時計のデザインの特徴は、文字板中央に配置されたアンテナと、それを包み込む分厚いカットガラスとセラミックベゼルです。世界初の腕時計に拘り開発したCal. 7400 の受信アンテナの制約があったからこそ、この唯一無二のフォルムが生まれたのでしょう。  もし、アンテナの制約がなく、世界初の多局受信型電波時計を自由にデザインできたとしたら、このフォルムが生まれていたでしょうか?  このフォルムが生まれた背景には、より正確な時間を刻む腕時計を生み出したいという情熱と、多くの制約があってもそれを乗り越える方法を想像し、発明する、シチズンの信念があったのです。このモデルのデザインは、「技術と美の融合」が具現化された象徴的な事例と言えます。  制約を逆手に取り、オリジナリティのある独創的なフォルムを生み出すデザイン手法は、過去のモデルにおいても用いられてきました。制約が大きければ大きい程、シチズンでは独創的なモデルが生まれてくるはずです。

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指でなぞるという事

 時計を上から見るとわかりますが、ケース、バンドがフルフローのデザインでまとまっており、バンドのラインが滑らかにケースのラインへと繋がっています。いわゆる4 本足のケースではなく、メタルバンド専用のケースです。このことにより、流れるような表現が可能となっています。  ケース、バンドがそれぞれ違う趣で個性を主張するのではなく、一体となって一つの外装としての個性を表現しています。ベゼルも細縁で、あえて装飾は施していません。ゆえに文字板の情報を最大限伝えることが出来ています。また、時計を横から見た時にも流れるようなラインで構成されていることがわかります。ベゼルの高さも抑えられており、大きな段差もないため流れを遮っていません。  ケース、バンドの3 時- 9 時断面はなだらかな山形状となっています。バンドに関しては中駒を一段低くすることにより、厚さを感じさせません。このような形状により、視覚的にも物理的にも腕への高い装着感が実現できています。  このデザインの持つ滑らかな繋がり。時々表面を指でなぞってその抵抗のなさを楽しみたくなります。“時計を身に着けるとはどういうことか”という問いかけに対する一つの答えがここにあります。

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アーリーアダプター向け ガジェットデザイン

 本モデルは、携帯電話に搭載されているBluetooth®のハンズフリー機能を利用して、携帯電話への通話着信を振動と光で通知する腕時計です。  ヘアライン仕上げのメインプレート、六角ネジ、スピーカーのパンチングメタルを彷彿させるウレタン部分など、アーリーアダプター向けのガジェット系デザインを意識し、ちょっとレトロな短波ラジオの緻密なイメージでまとめています。  上窓からはバイブレーターのモーターが覗いて見えます。このモーターが回転した時にはLEDライトが当てられ、光が拡散して着信を知らせます。触覚(振動)と視覚的な効果を狙っています。ガジェット感を演出するためにあえてモーターを見せるデザインにしています。  ケースが厚いこともあり、腕へのフィット感を重視しプラスチック成型の特性を活かして裏面を極力曲面で構成。また、サイドプッシュボタンを内蔵したウレタンバンドの構造を考案しフリーアジャストと融合させ、着脱や調節を容易にしました。

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赤ちゃんのような感覚

 こういったものこそ現代の人が持つべき時計ではないか、そう思わせてくれる一品です。  モノがあふれている世の中に、大切に扱いたいという気持ちを催させ、しかし決して幾何学的ではない柔らかな曲率で構成されたモノ自身が持つ愛おしさが、まるで赤ちゃんを扱うかのような気分にさせてくれます。巻きすぎると千切れてしまうのではないかと、丁寧にまわすりゅうずはしっかりとしたクリック感とバネの反発力を感じさせてくれます。  秒針は、機械ならではの小気味よい運針を見せてくれます。いまどきの時計にない、チクタクとなる音も大きく、中に機械が入っているのだと実感させてくれます。  その機械を見たくて裏ぶたを開くと、コリマソナージュがきらめく歯車の存在感が目を引きます。りゅうずに連動して煌めくのでついついまわしてしまいます。発色のよいルビーは、奥にある動くがんぎ車に、動くたび違って見える化粧を施しているかのようです。歩度調整も自分でできそうな大きな緩急針で、機械まかせではない自分の時間のペースを生み出している感覚になります。  いつもは使わないジーンズの右小ポケットにするっと収まり、卵のように手になじみます。時のあいだの間隔は、いつでも自分で変えられる。赤ちゃんのように優しく、大切に扱いたくなる。 100年の歴史が始まった最初の時計です。

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軽快さ

 CITIZEN Cal. F は、シチズン初の男性用腕時計として開発されました。男性用としてデザインされたものですが、手巻き時計のごつさも厚みも感じさせず、モダンでスマートな全体感を持ちます。  ケース上面の平らなヘアライン面が大胆ですが、ケースサイドのミラー面が柔らかい効果を生み、すっきりエレガントにまとまっています。また、文字板の絶妙な2 色の組合せが小粋な印象を与えます。  「針」「フォント」には細い線を取り入れ、緊張感と軽やかさの絶妙なバランスをとっています。  当時の流行も感じさせる洒脱で軽快な佇まいは、今でも新鮮に感じられます。

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かわいらしさ

 球面とアールで構成された形状は、優しく多くの人を魅了します。丸くて無条件にかわいい形状、シンプルで親しみやすい形状は愛着がわき、常に身近においておきたい存在となっていきます。ひとつひとつ手仕事で丁寧につくられていたことが、細部から感じることができます。  先カンの高さや位置が若干違うところは個性。雑に扱えば壊れてしまいそうな繊細さも、逆に大事に丁寧に扱わなければ、という気持ちを芽生えさせてくれます。  よく見ると“かわいい”と感じる形状も愛着がわくひとつの要素となっています。

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直感で分かる

 3 針しかない時計が主流の時代に、日・曜・月のカレンダー機能を国産で初めて盛り込んだモデル。  金めっきケース+黒クロコ革バンドという組合せは直感で高級だと感じ、ゴールドの文字板と美錠に施された繊細な細工から高級なものだと確信します。  最初に目に入るのは「月」「曜」の窓。次に、円弧上に配置された31までの濃紺の数字とそれを差す先の丸い針。まるでお日様を象徴しているようで「日表示」だと直感で分かります。シャープで太い剣針は存在感ある形状ながら、文字板のベース色と同調し、主役はあくまでも「日・曜・月」と言わんばかりです。  側面を見るとプッシュボタンにはボールペンの先くらいの小さな窪み。思わずボールペンで押さずにはいられません。2 時位置プッシュボタンを押すと2 時に近い「曜車」が回転、10 時位置プッシュボタンを押すと10 時に近い「月車」が回転、残りの4 時位置プッシュボタンを押すと「日針」が回転。とにかく分かりやすいのです。  新しい機能が盛り込まれたにも関わらず、直感で高級感、表示内容から操作方法まで把握できる優れものです。

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用の美

 1958 年、国産初の「ベルのなる腕時計」として開発され、当時の大卒初任給とほぼ同額の9,200 円だったにも関わらず、様々なバリエーションも派生し長く売れ続けたモデルです。  付加機能であるアラームを文字板中心に目安針として表現し、使い勝手の良さそうなりゅうずを特徴のある2 時と4 時に配し、機能と意匠が美しくまとめられているところがその理由だと思います。  優れたデザインというのは、このように機能を説明書を見ずしても形だけで使い方とその目的が想像出来るよう、美しくまとめられているもののことだと思います。

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目で見ても、手で触れても 可読性のよい文字板

 数ある腕時計の中でも、「文字板と針に直接触れて時を読み取る」ことを前提として設計されたものはこのような視覚障がい者対応のものに限られます。各パーツの造形や仕様には「触れられるパーツである」ことへの細かな配慮がされています。  時計全体のデザインはシンプルでありモダン。開閉可能なベゼル部分には球面ボックスガラスが備わっており、手に触れたとき、そのふっくらした形状が温もりと安心感を与えてくれます。  ふたを開け、文字板の上を直接指で触れてみると、まずその針の存在感に驚かされます。多少強めに触れても位置ズレの起きない丈夫なステンレス製の針には、根元から先端までしっかりとした立体感があり、指で触れた瞬間にその位置を容易に読み取ることができます。  時字も、ひとつひとつ上面を円錐で形状出しをしていますが、指の腹で触ってみても一切の尖りを感じません。その形状も点字から発想を得たであろうと思われます。樹脂塗装された文字板はこちらもガラス同様にふっくらとした形状のため文字板表面の触り心地がよく、いつまでも触っていたいような気持ちになります。  この時計を必要とする人々への設計者たちの「寄り添い」を深く感じることのできるモデルです。

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見えなくする

 この時計は鉄道員が使う時計として製造されたもので、社会インフラの縁の下の力持ちとも言えます。そして、そのような公共交通のインフラを支えるべく、実用性に十分配慮されています。時間が合わせやすいよう、12 時位置で秒針が停止する機能を持ち、また視認性(時間の見やすさ)には特に配慮がなされています。  そのため、視認性に深く関わる文字板以外の要素は主張が抑えられています。例えば、ベゼルの細縁・薄縁形状とその面構成、ラグの面構成、ケース下部の刈り上げなどです。  ただし、ただ存在感を消すのではなく、全体としての調和=美しさはしっかりと残されています。本当に見せるべきところを見せ、それ以外は美しく見えなくする。そのような意図がこの時計には含まれているように思います。

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「測る」という機能を際立たせて無駄を省いたシンプルさ

 1967 年から5 年間ほど製造された、クロノグラフ機構を持つ中三針手巻き腕時計。当時の広告資料を見ると、若い世代に向けた商品として発売されたようです。  時計は手巻から自動巻へと変化する只中にあり、自動巻クロノグラフもレコードマスター発売の2 年後には他社から発売されました。  製造されていたのは短い期間ではあったようですが、正統派のモデルであり、細部まで配慮の行き届いた繊細なつくりの美しさが印象的です。

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素直に時を読める

 キンダータイムは「子どもは時刻を読むのに苦労している」という問題を、時の表示方法を分かりやすくすることで解決した、子どもに寄り添う時計です。  時を時間帯で示したこと、時針、分針とその示す所を色で分けたこと、この2つが「素直に時を読める」最大の配慮です。また、秒針が切分にしっかり届いている所も、時を読みやすくする気づかいが感じられます。  ビビッドで元気のよい赤と黄の色合いや、文字板に入ったエンブレムのようなシチズンロゴ、ピカピカのランドセルを思わせる真っ赤な革バンドなど、どこまでもワクワクするデザインです。  そんな子ども心をくすぐる時計ですが、子ども用らしからぬ一面も持ち合わせています。時を読みやすくするために、子ども用にしては少し大きめのケースサイズになっています。シャープでエッジの立った面形状は、子ども向けにしてはやや鋭い印象を受けますが、無駄のない潔さが文字板の可愛らしさを上手く引き締めています。シンプルな中にチャーミングさのある読みやすいアラビア数字は、大人にとっても魅力的です。  とことん子どもに寄り添いながらも、子ども用だからと手を抜くことのなかったデザインの力を感じます。

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瞬時に捉える

 脈拍検出センサー、加速度センサー、運動消費カロリーの算出機能を搭載しているランニングをサポートするモデル。  まず赤枠で囲まれたデジタル表示と赤いボタンを目が捉え、12 時側のボタンは指が捉えやすいよう少し出っ張った形状になっています。  ケース下面の傾斜は液晶が読みやすい角度にするためのものであり、革バンドの面ファスナーはベストな角度位置での装着を可能にします。  切替で大きく表示される液晶は、ランニング時に必要な情報をすぐに捉えることができ、ライト機能があるので夜のランニングでも時刻が読みやすい仕様です。  まだランニングもウェアラブルウオッチも流行っていない発売当時、随分画期的であっただろうこのモデルは、ランナーへの使いやすさを追求し真摯に作られていたのです。

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有機的ディテール

 金属が主成分の腕時計は、工業生産により生み出されるものであり、また昨今ではそのデザイン作業にコンピューターが主として用いられています。そのような中、ともすればその意匠は無機的なものが多くなりがちであるように感じます。  本モデルは、時字、ケース側面、ベゼルや裏ぶたのエッジ、りゅうずなど、細部に曲面やアールをとりいれることで、無機的になりがちな腕時計の意匠において、有機的な要素としてのバランスを取っています。  ある意味では生物的とも言えるディテールを取り入れることによって、身に着ける人に跳ね返すような印象を与えず、心理的な抵抗なく身に着けられるような、適度に柔軟性のある形状をつくりだしています。

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やさしいとけい

 誰もが使いやすいという「人への寄り添い」を重視したことで、機能・ 造形の両方の側面で「やさしさ」に満ち溢れた時計です。つける人を選ばず、老若男女誰にとっても受け入れやすい。  ユニバーサルデザインというコンセプトを打ち出しているだけあり、徹底して「視認性」と「着け心地」の二点を重視しています。エッジの存在しない丸みを帯びたケースや、 先端がぷっくりと膨らんだユニバーサルフォントはその最たる例で、文字通り人に対してのやさしさを重視した結果、外観も「やさしい」印象を受けるのが面白いところです。  コンセプトがクリアなため、それにしたがって導き出される造形も明快。その思想は4 時位置の引き出しやすい形状のりゅうずから、爪を傷めないためのラバー製中留めカバー等々、隅々まで行き届いています。手に触れた際のテクスチャーも考慮されており、ホーニング加工されたチタニウムのさらさら感、中留めカバーのしっとり感等、手首につけて操作するプロダクトだからこそ、 五感に伝わる「やさしさ」が心地よく感じられます。

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アンバランスな魅力

 本モデルは、必要最低限の要素で構成されたフィールドウオッチ調のベーシックモデルです。  ケース、文字板、りゅうず、革バンド。主要部品それぞれのデザインは、フィールドウオッチとしては極めて一般的な形状であり、ベーシックらしい組み合せで纏められています。  しかし、このモデルには特別な仕掛けが用意されています。幾つかのパーツの大きさが普通ではないのです。極端に幅が広いベゼル、不釣り合いな大きさの時字、大きく長過ぎるりゅうず、丸く大きなハトメ金具。通常よりもひと回り大きく、最初そのアンバランスさに違和感を覚えたほどです。  ところが、暫く眺めていると・・・ アンバランスだったパーツがそれぞれ共鳴し合い、魅力的で力強さを感じるデザインになっていることに気付かされるのです。

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追求したシンプル

 「シンプルなデザイン」。これはとても良いことのように聞こえる一方で、実は曖昧な言葉でもあります。簡素なのか、地味なのか、すっきりしたものなのか。むしろ複雑なものを作るより、シンプルなものを作るほうが難しいものです。  この時計は形状や仕様などの細部へのこだわりが強く、それを丁寧に追求しています。その結果、洗練された美しいシンプルなデザインが生まれたのだと言えます。発売から月日が経った現在でも、色あせない美しさがそこにはあります。

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視覚効果

 個性的なディテールの腕時計は、買う人も、つける人も選びがちになりますが、本モデルは過度な装飾をなくし、誰からも好まれるシンプルでエレガントなデザインです。  シンプルなディテールの中にもいくつかキラッと光る点が見られます。  細縁ベゼルでケースをエレガントに仕上げ、薄さをより強調。時字にも工夫をこらし、マット感のある文字板/リングに、ミラー仕上げの針と時字を組み合わせることで、華やいだ視覚効果を与えています。  シンプルな時計だからこそ、人を選ばず、誰からも、広く長く、愛されるのではないでしょうか。

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クラシック調

 全体のイメージから細部に至るまでこだわり尽くした美しいディテールは、見た目だけではなく視認性や装着性も兼ね備えた完成されたデザインに仕上がっています。  小ぶりなケースサイズと直結したメッシュバンド、肌馴染みの良いカラーリング、クラシックなイメージを現代風にアレンジし、使い手に満足感や幸福感を与えるデザインとなっています。

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美と和のエッセンス

 日本人の心に秘められた美意識を時計全体に表したデザインです。中でも象徴的なのが、繊細な桜の花びらのパターンが美しく表現された文字板。満開の桜とその花びらが揺れ動く情景が目に浮かび、儚くも美しいと感じるのは、現代にも受け継がれる日本人の感性や文化の根源だと思います。  また単にラグジュアリーなだけでなく、日常使いできるラグジュアリーとしてエコ・ドライブや電波受信機能を搭載した、使いやすさにも配慮したモデルとなっています。  身に着けることで、持つ人の美意識を刺激し、人生に豊かさと彩りを添えることができる、とても魅力的なデザインです。

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光の結晶

 ぱっと見て「時計か?宝石か?」と質問されると後者と答えてしまいそうな、一般的な時計の姿とは完全に決別してしまったようなモデル。  「光を身に纏う」というコンセプトを最大限表現する潔いデザイン。りゅうずは極小、ケースまで面取りし、中留めにも大胆にサファイアを取り付けるなど、徹底してコンセプトを表現しています。バランスを損なわない極限まで小さくした文字板にクリスタルをモチーフにした針をあつらえ、極めつけはケースのセンターよりも厚いガラスで、横顔にも抜群の迫力があります。  腕時計の枠に囚われず、美の表現を攻めきる様が爽快です。

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美の融合

 「宙空の美」と「日本の美」がうまく融合されている、魅せるモデル。  職人の手作業による漆塗り+塵地螺鈿、立体的な文字板構成、ムーンフェイズなど複雑な要素が多くありながら、過度な装飾性は感じられず、いつまでも眺めていたくなる魅力があります。おそらく、サイズだけでなく色や仕上げも含めた、要素の足し算/引き算のバランスが優れているからではないでしょうか。  シンプルながらダイナミックなケースが器となり、細部にまで緻密にこだわりを感じる華やかな文字板を、うまく引き立てています。

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SOLID FLOWER

 チタニウム製の時計。チタニウムはどことなくタフなイメージがありますが、この時計のデザインは繊細さからアプローチされています。初めて見たときは、まるでミニチュアの花のような印象を受けました。  デザインの中に、複数の曲線がダイナミックに用いられています。葉のような形をしたバンド、花の形をしたりゅうず、文字板にも花の模様が浮かんでいます。ローマ数字の時字はエレガントな雰囲気を時計に与え、女性をターゲットにデュラテクトプラチナが施されています。これらの要素は、この時計の華やかで女性的な雰囲気の美しさを際立たせると同時に、チタニウムの硬質さ・軽量さという利点を持ちながら、タフなイメージを軽減させます。  さながら、「ソリッド・フラワー」とでも呼ぶべきものがこうして出来上がりました。

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最小認知要素から 装飾するプロセス

 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。

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自然の生命

 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。

https://ms.citizen.jp/assets/100_12-08_L 漆玉_01

光を感じる時計

 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

https://ms.citizen.jp/assets/070_10-02_カリキュレーター_01

レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。