
要素を極力そぎ落としたミニマルなデザイン。
ケースの垂直面を薄くし、視覚的により薄く見える工夫がなされています。

稜線の極小アールの角処理によって、薄いフラットな面や稜線をはっきり見せる処理を行っています。

ケースの側面を薄く腰高にし、視覚的にも薄く感じさせる処理を行っています。

先が細くなっている石をりゅうずに埋め組むことで、スリムな印象を与えます。

外観を構成する稜線を極力少なくし、薄さを際立たせています。

極細の針の上面はアールカットを施し、断面をできるだけ薄くした形状。

植時の両サイドは、幅数十μm程度の凸型カット処理を行い、精緻感を演出しています。
ENGINEER'S EYE
世界を驚かせた薄型クオーツ
より本質的な価値を持った「高品位の時計」を志向して企画開発が行われた、当時世界で最も薄いクオーツ腕時計。
ムーブメントの開発目標は「厚さ0mm」。0mmは無理としても、従来のムーブメントの構成部品を少しずつ薄型化するのではなく、歯車、モーター、回路といったクオーツ時計に必要な部品を限界まで薄型化し、それを積み上げることで超薄型ムーブメントの開発を進めていきました。
水晶振動子は一般的なシリンダー型ではなく0.9mmと特別に薄型化されたものを専用に開発。ガラス基板に水晶振動子を搭載し金属蓋で封止するというもので、初めての素材のため生産は困難を極めました。また薄型ながら温度補償コンデンサーを採用することで、月差±10秒の高精度を実現しました。
もっとも困難を極めたのは針を動かすモーターの開発。モーターの大きさはそれが出力するトルクと比例するため、トルクを減らした試作品の携帯テストを繰り返し、大きさとモーター性能がバランスする点を見つけ小型化にこぎつけました。
機械部品についてもただ薄いだけでなく地板の反りや、歯車のあがき、軸の位置精度を従来のクオーツ時計の倍以上の精度としなければならず、製造には細心の注意が払われ、選抜された技能者が組立にあたりました。