
ケース(文字板)中央に電波受信用のアンテナを配した唯一無二のデザイン。繊細な針や文字板とアンテナのバランスが絶妙なデザインです。

ガラスとセラミックベゼルでケース厚の44.4%を占める独特のフォルム。世界初の多局受信の電波時計を生み出そうとした、シチズンならではのアプローチから生まれたデザインだと言えます。

ケース厚の44.4%を占めるガラスとセラミックベゼル。この独特のケースバランスとカットガラスの屈折を利用したフォルムが、このモデルをより一層特徴づける要素です。

円球面カットと円筒面カットを組み合わせたサファイアガラス。プレスによってアンテナ収納部を加工しています。

りゅうずとプッシュボタンは、全て同寸法の仕上げ違い。

文字板の円や扇形の形状を極細のスリットで表現。この繊細なスリットが精緻感を醸し出しています。

針は、限られた長さの中で視認性を上げるデザイン処理がされています。また、左の2 本の月針と日針は、50μm の幅違いだが座径が同じであり、重なる際に1 本の針のように見せる工夫がされています。

オリジナルのローマ数字フォント。
ENGINEER'S EYE
多局受信型電波時計の始祖
シチズン初、かつ世界初となる日英独の標準電波が受信可能な多局受信型電波時計。時計の本質である「時刻が狂わない」ための一技術として開発がスタートしましたが、時刻精度の向上はスタンドアローン(例えば年差時計)で実現されるものが本流として捉えられていた当時においては、受信性能を確保するために時計の前面にアンテナを配置するという異質な風貌も相まって、かなり挑戦的なモデルとして社内でも様々な意見がありました。
しかし、ここで開発されたスーパーヘテロダイン受信システムは以降の電波時計へ継承、性能改善され、不可能と思われていたフルメタル電波時計の実現につながっています。
真正面に鎮座するアンテナが意匠的にも独創性を生み出していて、この時計のスタイリングについてはもはや言葉は不要でしょう。当時の開発者の机には試行錯誤を繰り返したアンテナ付きのガラス部品が積みあがっていました。
電波時計の礎となったこの時計は、「科学技術の発達史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ科学技術史資料」として国立科学博物館が選定する未来技術遺産に2018年度登録されました。