
中三針の手巻きクロノグラフ。繊細な文字板表現。特に1/5切分部分。ケースはシャープなラインで構成され、すっきりとした印象。

ケースラグ先からサイドまで繋がる美しいシャープな斜面。

溝を切った12 箇所の時字は飾り気がなくシャープな形状。視認性のよいアラビア数字や繊細な1/5 切分とあわせ、正確な時を測るための要素が詰め込まれています。

シンプルで全く飾り気のない形状のりゅうずとプッシュボタン。

すっきりとしたサイドビュー。全てミラー仕上げでも見るに耐えうる面品質を保っています。ケース裏側はサイドから見たケースの厚みを軽減するためか、逆アールの面取りで軽さを出しています。

ねじこみ式防水裏ぶた構造を採用。プッシュボタンはストップウオッチのように押しやすい蟹目タイプ。

針形状は山型カット形状のドーフィン針。分針、秒針の細い先端は切分までしっかりと届き、計測しやすい視認性を保ちます。
ENGINEER'S EYE
垂直クラッチ
シチズンで初めてのクロノグラフ。1967年にして早くも垂直クラッチ式が採用されている点は驚くべき要素です。伝統的な水平クラッチ式では四番車と秒クロノグラフ車は別に設けられ、中間車のかけ外しで発停がなされますが、垂直クラッチ式は四番車と秒クロノグラフ車が同軸に設定され、両者を繋いだり切り離したりするクラッチ機構を搭載しています。
最大のメリットはベーシックな中三針ムーブメントの小改造でクロノグラフ化できること。センターにある四番車の軸の部分だけを独立させ、それにハートカムとクラッチ機構をつければ、歯車のポジションを変える必要はありません。
部品を観察すると、レバーが摺動するコラムホイール側面の仕上がりが極めて平滑。これは特殊なプレス技術を用いたものと思われますが、軽やかでここちよいプッシュボタンの押し感につながっています。設計から部品品質にいたるまでシチズンの本領を発揮したムーブメントであるといえましょう。