
シャープな面構成が美しい。六角形のモチーフがデザインに取り込まれてケース、文字板、バンドに統一感がある。現代においてはやや小振りな印象。
ケース側面のダイナミックな斜面が特徴。それがケースのボリューム感の緩和に貢献している。プッシュボタンは小さめでケースプロフィールを邪魔しないサイズ。

シャープなケースラインが心地良く、ケースサイドは丸みを帯びた形状。ケースのステンレス色とガラスの黒印刷のコントラストが精悍な印象。

ケースに対し裏ぶたが小さくシャープなエッジが薄い印象へ貢献。プッシュボタンも主張しない控えめなサイズ。

電池ぶたが裏面の大胆なアクセント。裏ぶたを厚くすることでケースを薄く見せる工夫がされています。

アナログとデジタルの共存が最大の特徴。一体感の強い先カン構造で大胆な斜面が腕への馴染みを高めています。ケース、文字板に一貫して表現されている六角形モチーフはこの時計のアイコン。

文字板に繰り返される六角形モチーフ。小さなドットまでも六角形。デジタルのセグメントやCQ 表記にまでも統一感があります。

緻密な9列バンド。やや薄めの巻きバンドが軽快感に繋がっています。
ENGINEER'S EYE
国産初コンビネーションウオッチ
アナログとデジタルを融合させた国産初のコンビネーションウオッチ。当時クオーツ腕時計の第2の潮流として、液晶を使った「デジタル腕時計」が普及しつつありました。電子部品だけで構成されるデジタル時計は、歯車などの精密機械加工が不要なことから電機メーカーなどが参入、激しい競争が予想されました。
シチズンは新規参入メーカーとの差別化の観点から、培ってきた技術を活かせるアナログ時計との複合商品に目を付け、デザイナーによって考案された当モデルの原型となる斬新なデザインの草案をもとに開発がスタートしました。
ガラスでできた四角い液晶パネルの左下を「メキシコ湾」の形状にくり抜き、そこに小型アナログムーブメントの機構部を収めるのですが、この異形の液晶パネルの製作は困難の連続でした。試作では良品は10個に1個以下、また苦労して試作しても、時計の落下テストで大部分が破壊され技術者を悩ませました。
試行錯誤の末、液晶パネルの形状とその加工方法を工夫することで衝撃に強く、量産可能な液晶パネルを作ることができるようになりました。
発売するやいなや大ヒットとなり、当時の営業担当者が時計店から「デジアナ」の納品を毎日催促されるほどの人気となったそうです。