
文字板上に直接触れて時間を読み取るため、文字板上の針、時字、文字板面全てがソフトな形状で構成されています。ケースガラスのふたを開閉する時の、硬すぎず柔らかすぎず心地よいクリック感。

ケース上面のガラスのアールと同様のカーブが、ケースの裏ぶたにも使われているように見えます。裏ぶたにはヘアライン目付けが施されています。

温もりと安心感のある球面ボックスガラス。

点字からヒントを得たと思われる時字形状。

装着したときにも心地よいカーブした裏ぶた形状。

表面に樹脂塗装されたボンベ文字板と視認性のよいアラビア数字。

ヒンジの付いた開閉式ガラスを開け、文字板上面を指で触れることで時間を読み取ります。立体感のある針と時字が、ほどよく指の腹に触れて読みやすくなっています。

存在感のあるステンレス製の時分針。
ENGINEER'S EYE
触読式時計
触読式時計の歴史は長きにわたります。16世紀に製作されたヨーロッパ製の機械式懐中時計の中には文字板に突起があり、暗闇でも針と文字板を触れることで時刻を読み取れたものがあります。シチズンにおいては1960年につくられた初代シャインがその嚆矢です。
針を直接触れることになるこの種の時計に求められるのは充分な剛性があること、針を触ってもそれががたついたりしないこと。この時計に選ばれたのは「ジュニア」のムーブメントで、地板は厚く、しっかりとケースに直にねじ止めされ、また、万一分針を強めに押してしまっても、分針がつく二番車は両持ち式の中受と輪列受が二重で力を受け止めてくれるので壊れるリスクは低いものとなっています。
また、この二番車はセンターに配置され、香箱から直接力を受け取り、三番車へ力を受け渡しているので、つねに回転方向に押し付けられ、触れる程度で針ががたつくこともありません。まさに触読式時計には最適のムーブメントであったといえます。